バラナシ到着
僕たち日本人が想像する、インドという国が凝縮されたような街がある。
それがバラナシだ。
アジメール駅から電車に揺られること26時間、バラナシ近くにある、ムガルサライ駅に到着した。
駅を出ると、オートリキシャーや宿の客引きが大量にいた。そのうちの一つに乗り込み、バラナシへと向かった。料金は確か200ルピー。
長時間移動に疲れ果てていた僕はガタガタの道をけたたましいクラクションを鳴らしながらかっ飛ばすオートリキシャーにぼーっと揺られていた。
僕がバラナシを訪れるのは初めてだと知っている運転手が後ろを振り向き、「見ろ!! ガンガーだ!!」
ついにたどり着いた。そう思った。目の前には濁った広大な河が広がっていた。そしてその川岸には沐浴場がずらっと並んでいるのが見えた。
「ついに俺はバラナシに来た」
素直にそう思った。
これまでに訪れてきた都市とは比べものにならない感情の波が押し寄せてきた。
とりあえず、オートリキシャーに連れていかれた宿を見てみた。きれいな個室で300ルピー。移動で疲れ切っていたためそこにやっとの思いでバックパックをおろす。
とりあえず街を散策する。
細い路地が入り組む迷路のようになっている。そして、そこを抜けた先にはガンジス川(ガンガー)が流れていた。
ガンガー沿いを歩くと、いろいろな人間がいる。沐浴をしている者。旅行者。ガンジャの売人。ボート漕ぎ。
カオス。その言葉がこの街にはふさわしい気がした。
そのカオスの中を一人ぼっちで歩いている自分がいる。
これまで味わったことのない感覚だった。
日本人が入れば何かしらの病気になるというその川は、乾季ということもあり、そこまで汚くは見えなった。(その後数回、沐浴したり泳いだりしたが、まったくの無傷)
デリーと比べれば、人が温かいような気もした。
宿に帰り、ガンガービューの屋上で夕食を取り、睡眠をとった。